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20. august 2008

小序章 夜餐機上

8月2日(土)

結局あたしはマゾなんだと思う。
わざわざ、「どうしよう、ちゃんとホテル取れてるかなあ」とか、言葉が通じないとか、そういうドキドキする状況に自分を追いやるのが好きなのだ。だから旅が好きなのだ。

今回利用の飛行機はカタール航空。チケット自体の値段と燃料追徴の値段とがいちばん安かった。普通は燃料追徴だけで往復5万円くらい、産油国のエミレーツですら4万円も取るのに、カタール航空は2万7千円。即決!
カタール航空は関空からなので、関空までは羽田発のANAとの共同運航便がセットになっている。いちばん安かった近畿日本ツーリストの格安航空券で予約した。

朝、荷づくり。たまに「何持ってってんの?」ときかれますが、フヂマリの荷物はこのくらいです。パソコンとかカメラ以外は、服は3着を洗い続ける、パンツ2枚を洗い続ける、あと化粧品と洗濯ばさみと眼鏡くらいだ。

17:30 出発。成田へ向かわない、京成線に乗らないこの感じはなんだか変。
羽田でのチェックインはあっけなく終わる。
国内線から国際線への乗り継ぎの場合、どこでどのようにチケットを渡され、出国審査があるのかと思っていた。羽田では国内線のチケットだけが発券され、でも荷物はアテネまでスルーだった。ちゃんと届けよ! と念じる。出国審査も関空で、とのこと。
あたしの乗る飛行機が羽田第二ターミナルの最終便。
お店やレストランが閉まるのが早い! 最終便までは待ってくれないのである。いぢわる……。仕方がないので、恒例のねぎとろ丼ではなくて天丼を食べることになった。
塩をかけようとしたら漫画のように蓋をごはんの中に落とす。うーん幸先が悪い。
天ぷらはてんやのほうが美味いかもってレベルだった。あと、なんかごはんがベチャっとしてた。釜炊きが売りの店だったのに。
てんや美味いよなー。フヂマリの舌は安くていい子。
羽田第二ターミナルのレストランは概して高い。子ども連れで入れる、ユルい雰囲気の店がないし。1人前1000円で食べられるところがないと、子ども2人連れた家族は結構大変だと思うんだけどな。成田空港でいう京成友膳みたいな、ファミリーレストランみたいなのがなく、赤坂離宮やらサバティーニやらしかねえの。ピカチュウ飛行機飛ばしてるターミナルなんだから、お子様のことも想定しとけっつうの。

出発まで、かなり余裕があったので、連絡バスに乗って国際ターミナルに行き両替をしようとするものの、レートが悪くてやめる。
両替、いっつも思うのだが、いちばんレートがいいのは何だろう。あたしの経験では、成田空港の改札口出てすぐのところにある自動販売機みたいな両替マシン、次がクレジットカードのキャッシングなんだけど、もっといいのがあるのかしら。でも一度、フランスの銀行のATMでスキミングされて以来、ATMがちょっと怖い。でも利用しちゃうんだけど。

羽田のカウンターにはカタール航空の姉さんもいた。関東には就航していないのに、一人だけ出向なんだろうか。ご苦労様です。
客に対して厳しい姉さん。黒人兄さんの重い荷物の料金を追徴しようともめてた。
姉さんタメ口。「高いけどいいのね? 持ち込んじゃダメなの!」強い……。

羽田第二ターミナルは、搭乗ゲートの近くのお店まで充実している。
スターバックスでは限定タンブラーが売ってたり(Oさんに教えてもらった)、ねんりん家のカフェがあって、バウムクーヘンのくせに中身はカツとかハムとかの不思議サンドイッチがあったりした。バウムクーヘンのサンドイッチ、ちょっと気になる。でももちろん閉店してた。ちぇっ。

なぜ、羽田も成田も全日空が一人勝ちしたんだろうか。
いいとこ全部持ってったのはANAで、JALはおいてかれてる、って感じがする。JALのイメージがダウンしたのはいつからだっけ? 不祥事からの脱却ができなかったから? 落ちぶれたな、ナショナルフラッグなのに、と、ずっと考えていた。キムタクの「グッドラック」あたりにJALの不祥事がかぶってて、そのへんからだった気がする。

赤塚不二夫死去、の速報を見る。

21:40 羽田を離陸。
搭乗率5割。ジュースを飲んで1時間で関空へ。ドリンクサービスでコンソメスープがあるのは、今まで乗った航空会社の中でANAだけである。
関空の空港コード、KIXって、ちょっとかっこいい。羽田HNDよりXがついてるあたりが近代的。

到着ロビーまで戻り、再度チェックイン。が、この時間帯、我々、羽田からカタール航空への乗り継ぎ客しかいないはずなのに、全然進まない。なぜなのかは不明。何トロトロやってんの? なんで受付まで軽くキレ気味なの? 5ヶ所もカウンター開けて、客は30人もいないのに、あたしのチケットなんて、もうチェックインして発券済みで、それを渡されるだけだったのに。飛行機のシステムは今イチよくわかんない。
チケットにアラビア文字が書かれているだけでワクワクする。日本語読めない人が日本に来て日本語見たときのワクワク感、異国情緒とおんなじだと思う。

関空でも、最終便から2番目だった。ラストはバンコク行きのタイ航空。
0:25離陸。
エアバス330。座席は広くはない。パーソナルテレビはあり。ほぼ満席で、半分日本人、半分いろんな外国人、という構成だった。
ドーハ空港の利用客の7割は乗り継ぎ客、と書物で読んだとおり、だいたいが乗り継ぎでどこかへ行く客のようだった。
カタール航空のお姉さんはエミレーツのようにベールはないものの、不思議な制服。古風な帽子だし、色は紫と臙脂の中間色みたいなのだし。搭乗のときはブラウスだったのに、食事のサーブのときにはジャケットを着る、ってのも面白い。普通、逆なのに。
接客は丁寧。何度も飲みもの持ってくるのを厭わないし、よく気づくし。古風なサービスをする。快適。
乗ってすぐに、飴と、いいにおいのおしぼりを配るのはイスラムやアラブの習慣だなあと思う。日本の航空会社もやるとこがあるか。でもおしぼりのにおいがとっても香水っぽい。
これ、本来はコロンを振舞う。聖書で、旅をしてきたイエスの足を洗って香油を塗るのの延長線上にあるサービスが2000年後にも残ってるってのは面白いなあ。
日本の場合は、香りはないけど、でもやっぱりおしぼりがある。旅人や客人に対する、「さっぱりしてもらいたい」という、同じ感覚のサービスだ。人間の考えることは地域に左右されない、ってのがいい。
おしぼりのにおいだけでなく、機内がなんとなくいいにおい。空調に何か混ぜてる? 誰かの香水のにおいではなく、どこまでも薄く香る。ティーツリーオイルみたいなにおい。


機内エンターテイメントの中でいちばん好きなのはパーソナルテレビの飛行情報画面。こいつが憧れのアラビア語表示!
アラビア語は、文字は右から左でも、数字はアラビア語の数字ではなく普通のアラビア数字(これ言いかたがややこしいなあ)で、アラビア数字は西洋と同じく左から右に書く。変なのー。


そして、すんげえ見たかった憧れのキブラポインター!
矢印はキブラ(メッカの方角)とメッカまでの距離を指す。アラブ系航空会社の特徴。これが見たかったんだ。でも機内でお祈りしてる人はみかけなかった。コーランによれば、旅人は礼拝や断食など、コーランの教えを守らなくても大丈夫なのだそうだ。

ごはんは和風と洋風。洋風が早々に売り切れてしまって和風しか残っていなかった。
和風は鰻。あたしはいいけど、外国人のお客さんは鰻の蒲焼き、大丈夫かなあ? もうちょっと一般的な魚にすればよかったのに。季節感はあるけどさ。
ごはんが美味しい! 今までのベスト3に入るぞカタール航空。ただしナイフとフォークが監獄色(=銀ねず色)。カタール航空のイメージカラーが紫っぽい臙脂とシルバー、つまりカタールの国旗色だからだってのはわかるけど、これはちょっと食欲をそそらないんじゃないだろうか。
ワインも美味しい。チリ産とフランス産から、エコノミーでも選べる。イスラム航空会社だけどアルコールは出る。
機長の挨拶はGOOD MORNINGから始まった。しかし出てきた機内食はDINNER。この不思議。
時間感覚のなさこそ飛行機の楽しみ。あたし、飛行機乗ってるの大好き。これが旅の楽しみの30%くらいを占める。

天井が、おやすみモードのときに青くなる。キレイ。
今どきアメニティセットもあり。靴下・耳栓・アイマスク・歯ブラシがパスポートポーチみたいなのに入ってる。今どきエコノミーでこれくれるの、めずらしい。


3日(日)

イスラムでは平日。
映画はカンフーパンダだのナルニアだのしかやっておらず、1本も観たいのがなかったので、ひたすら200ページコピーしてきたウィキペディアを読んだり日記をメモしたり。カンフーパンダとかいって! 全然絵が魅力的じゃねえの!
ドリームワークスのドリームはモンスターズインクで醒めたわ。そもそもあたし、アメリケ人がだーい好きな、動物が二足歩行して人間の言葉を話す系、嫌いなの。
カンフーパンダに比べてウィキペディアはいいなあ。本1冊読んで記憶に残るようなことを20行で説明してくれる。興味のないことを知るのに最適。「パルテノン神殿」とか「ミフラブ」とか、かたっぱしから、この旅に関係ありそうなワードを調べ、印刷して持ってきた。読んだら捨てる。これが今回の旅の本がわり。
そう、最初っからバラしておくが、つまり、フヂマリはまったくもってギリシャに興味がないのです。ヘレニズムって何?クレタ文明って何年前くらい?ホメロスって人名なの物語名なの? そういうレベルなのである。
思えば、あたしが世界史につまずいたのはギリシャ人の名前が長かったところからである。ずいぶんと早い時点でくじけたものだ。カタカナ6文字以上の名前で全員語尾に「ス」がつくとかいって、ムリムリ。
ただし、ギリシャ神話と聖書こそ、欧米の文明と文化の根底であることはイヤってほどわかってる。欧米の大学生はイーリアス?だっけ? を読んでて当たり前なんだって言われたこともある。本当かなあ、とは思ったけど、日本の大学生の何人が、古事記か日本書紀を読んだことがあることか。えばって答えるが、あたしはない!
ギリシャ神話はめんどくさいのだ。今世界で一般的に流通してるのはローマ神話でのラテン名だから神様の名前の対応表覚えなきゃなんないし。いっぱい登場人物いるし。

それにしても、ギリシャ神話の欧米文化への浸透度はすごい。あたしが知ってるだけだって、パトカーのサイレンは歌の上手なバケモノ「セイレン」からきてるとか、コーンフレークとかのシリアルは豊饒の女神「セレル」からきてるとか、英語で媚薬のことをアフロディジアックって言うのは美の女神「アフロディテ」からきてるとか、そんなのゴマンとある。
日本書紀や古事記が日本文化に与えた影響って、どのくらいあるだろうか。少なくとも現代語に残っている神様の名前なんて、歴史の教科書にしか出てこない「イザナギ景気」か、「三種の神器」くらいじゃねえの?
文化への影響、という観点からなら、ギリシャ神話が楽しいと思える。

機内であんまり寝ないのに、めずらしく爆睡。
朝ごはんはオムレツかキッシュ。
これも美味い! 何が違うんだろうなあ。エコノミークラスにおける機内食コストは各社それほど差があるとは思えないのに、明らかに味が違うんだよな。出てくるものだって似たり寄ったりなのに、味が違うなんて。

隣の席は女2人組でギリシャ行くみたいだった。飛行機乗っても添乗員が挨拶に来ないっつうことはツアーではないらしい。
ユルユルのデカズボンはいてるあたしが言うのもナンだが、変な服を着ていた。裾が切りっぱなしの、すんげえ水色ワンピースに、水玉のジャケット、水色のツモリチサト系バッグ、水色の五本指靴下にクリーム色の華奢なサンダル。
「英語、読み書きはできるんだけど、しゃべるの、あんまりしたことないからー」と言う奴のことは、スチュワーデスさんに話しかけられて困っていても助けてやらなーい。わかんないって言えよ。フヂマリさんみたいに。

4:45 カタールはドーハに着く。
じめ~っとした32℃。きれいな青空はない。薄曇りでじと~っとしている。ミストサウナが無料で体験できる感じ。屋外に5秒いると、長袖の内側が湿ってくる。
そう。長袖。カタールは一応中東のイスラム国。西洋化が進むアラブ首長国連邦と異なり、まだまだ女性が表を歩くことがめずらしい、と書物には書いてあったので、トランジットだけではなく空港から出てみるつもりのフヂマリも念のため、長袖長ズボンで、身体のラインがでない服装っつうのを心がけたのでした。
噂にきいていた「空港が主催する無料の市内ツアー」は、団体でないとダメなんだとさ。それでも入国!
カタールに入国するにはビザの申請がいる。のだけど、日本で申請していかなくても、入国審査官のところにクレジットカードの機械があり、クレジットカードでビザの申請料金を払うのがカタール流。その場で1ヶ月滞在許可のスタンプが押される。わかりやすく「関所の取り立て」って感じ。これぞ関税。VISAカードでビザを買うのだ! 三井住友VISAカードも本望だろう。

入国審査には女性専用のレーンがある。頭からすっぽりとベールをかぶってる人が多いので、パスポートの写真と照合するために、仕切りになってて審査官も女性なのだ。ここでならベールをはずしても、他に並んでいる男性から顔を見られる危険がない。
頭からすっぽりタイプのベールをかぶってない女性は他のレーンに並んでもいい。でもあたしですら、係員の人に「こちらへどうぞ」と女性専用レーンを勧められた。
他のレーンも審査官は女性が多い。他人の奥様を、写真照合のためとはいえ凝視するのが、男性でははばかられる、ってことなのかもしれない。審査官のお姉さんたちはみーんな美人だった! しかし、さっそくの黒ずくめオバQ。そして無表情。
空港で働いている人たちは圧倒的に男。噂に違わぬこの感じにドキドキする。たーのしー。イスラムの国、初体験だ。

あまりに早く入国してしまったので、2時間くらい、出発ロビーに座って人を観察していた。奥さん2人かなあ、って感じに、同じくらいの年頃の女性を連れた男の人とか、女の子が黒オバQになるのは何がきっかけなんだろう、初潮かな、とか、ずーっと見ていた。
ポーター連れて、おつきの人も連れた、すっげえ素敵な絹の白オバQ服のイケメンとかもいた。ちょっとワルそうなサングラスかけてるけど、服は白オバQ。
女の人のベールは、ランクがバラバラだということもわかった。黒オバQでも、裾の長さが違ったり、刺繍や模様が入っているのもアリだったり、あるいは普通の洋服だったり、それから顔の隠しかたも目だけを隠すのか、髪だけなのか、頭からすっぽりぜーんぶ隠してるのか、などなど。男の人の格好も、洋服なのか、白オバQなのか、頭の布は白なのか赤白チェックなのか、その布をとめる黒いゴムみたいなのが1本なのか2本なのか、それにしっぽみたいな紐がはえてるのか、いないのか、いろいろ。流行とかもあるんだろうか。
ただし世界共通なのは、質のいい服はやはりかっこよく見える、ということだ。絹のやわらかいのをスリムに着てる、長身の白オバQ男は、花丸文庫とかのオタンビパラレルボーイズラブ小説とかにありがちで、ちょっと素敵だった。
全体として男性は長身の人が多い。でもおっさんになると腹が出て、白オバQ服がドーンってなっちゃうんだよなー。

S0118:00 タクシーで、ドーハ一立派な、シェラトンホテルにお茶を飲みに行く。
素晴らしく爽やかで美しいミントブルーが、ドーハのタクシーの色。車種もランドローバーだったりトヨタのカムリだったり、どこまでもリッチな感じ。
そしてどこまでもじめ~っとうだるように暑く、くすんだ空の色がドーハの朝。湿気でカメラレンズと眼鏡が曇る。すっきりピカーンとした青空を想像していたけど、全然違った。どよーん、もやーん。

シェラトンは誰もいなかった。超静か。入口にはX線審査あり。でも客の姿はチラホラ。
コーヒーとフレッシュオレンジジュースを飲む。すんげえ広い吹き抜けのホテルの、すんげえ広い朝ごはんレストランだけど、客は10人弱。大丈夫なのか、このシェラトン。
カタールはカタール人よりも外国人労働者の人口のほうが多い国である。働いてる女性たちも、ベールをしていないのはほとんど外国人労働者なんだろう。顔立ちも、アラブ系の人はほとんど働いてなくて、中国系、フィリピン・マレーシア系、そしてパキスタン系が多い。
空港でも思ったけど、こんだけでっかい、吹き抜けのホテルをガンガンに1日中、1年中クーラー効かしてるんだから、日本でどんなにチームマイナス6%とかがんばっても、まったく意味ないんじゃねえの? 日本がチームマイナス6%だとしたら、カタールはチームプラス18%くらいだと思う。

シェラトンからタクシー乗ろうと思ったのに、リムジンしかない、と言われた。決して高い値段ではないのです。でも、道でタクシー拾うのの3倍くらいするんだったら、貧乏人フヂマリ、タクシーを取りたいです。
S012もやーんぎらりーん、とした空気の中、ヒーヒー言いながらタクシーを自力で拾い、服のスーク(市場)へ。
女性は本当にほとんどいない。見かけたのは1人、中国系のおばさんのみ。
でも、髪を隠してなくても、半袖でも、よっぽど派手な格好してなければ、じーっと見られることはあっても、否定的な空気にさらされることはなかった。都会だしね。顔立ちがいかにも異教徒の北アジア人だしね。

街に人はほとんどいない。
ガンガン建ちつつある高層ビルの建築現場で働く人くらいだ。この国で建築現場で働くのだけは、あたし、いやだわ! 無理無理。
とにかくすんごい建設ラッシュ。ドーハの街には工事現場しかない。でもこの暑さだから、絶対、予定どおりには終わらないんだろうなあ。
シャキシャキ働く、ってことはこの国では死を意味すると思うよ。気候的な要因で。


横断歩道の標識の人も、「ポイ捨て禁止」のマークの人も、アラブ服。オバQスタイル。


車のナンバーはアラブ数字。これが見たかった!
これだけのためでも、やっぱり入国してよかった。8時間ずーっとトランジットのために待ってるとか、絶対にやだもん。

空港に戻り、免税店で高級アラビア菓子店Bateelのデーツ(ナツメヤシ)菓子を買って食べてみる。
美味い!
中東で好まれるデーツ、あたしも大好き。
干し柿のようなデーツの外側にキャラメルが薄ーくかかっていて大変香ばしくて美味。おみやげ決定。

物価は安い。空港内でも水が1本30円くらい。
子ども用みたいなジュースも1本30円くらい。
アラビア文字はかわいく書くとガキの落書きみたいで、ますますかわいい。

ここでもひたすら人を見て時間をつぶす。
男性の白オバQは、カフスが純金、絹の衣装、襟と袖口がきちんと、きゅっと締まってる、ってのはかっこよく見える。袖口が締まってると、ゆったりとピシッのバランスが非常によろしい。
どの民族でも、イケメンはイケメンなのだなあということを確認する。そしてその割合は、どの民族でも同じくらい低い。なっかなか美男美女というのはいないもんだ。
女性の黒オバQは、長すぎないほうが素敵。ズルズル引きずってると、だらしなく見える。足首丈くらいが素敵。派手ではなく、控えめな刺繍やラインストーンも素敵。
空港内も、なんとなくいいにおいがする。免税店の香水のにおいじゃない、香油のような、いいにおいがする。

S015トイレにシャワーあり。
おしり洗う用。
紙は流さずごみ箱へ。
お尻洗うの気持ちいいけど、ズボンはいてたら無理じゃね? どうやってやるのか見たいなあ。
シャワー使用の痕跡か、トイレの個室の床はわりと濡れてる。便座も若干濡れてたりする。

13:05 アテネへ向けて離陸。
搭乗拒否されているパキスタン系? のおじさんはどうなっただろう。
これから搭乗のタラップに行きますよ、っていうバスの入口で「入っちゃだめ」と言われていた。チケット持ってるのに。ああいうのを見ると切なくなる。どこへ行くんだろうか。外国人労働者への差別があるのかなあ。あたしには係員、超フレンドリーだったのに。確かに裕福そうな人ではなかったけど、でも、チケットはちゃんと持っていたのだ。でもパスポートの写真を確認されて、これ、お前のパスポートじゃねえだろ、って言われて、搭乗拒否されていたのだ。そんなことってあるのか? 出国審査もパスしてきてるのに?

機内食がやっぱり美味しい!
「チキン」は、豆入りピラフ・サフランソースがけのチキンソテー・にんじんのグラッセ。「ビーフ」は、ベーコンみたいな塩漬け牛肉のクリームソース煮・フライドポテト・いんげん。これに、香草のパテ、ポテトサラダ、全粒パン、クラッカー、クリームチーズ、デザートはチョコレートプラリネと、ミントクリームとチョコレートのケーキがつく。
どれも素晴らしく美味しい。開けたときにもうすでに、ちゃんと美味しそうなんだもん。
ミントクリームのケーキだーいすき。あまーいけど、お茶飲みながら食べると最高。
鰻といい、ミントクリームのチョコレートケーキといい、ちょっと面白いものを出してくる。万人受けはしないかもしれないけど。

17:05 アテネ着。4時間半も飛行機乗ったのに、時差はない。不思議~。
着陸するときから、ドーハとは空気の質が違うだろうな、と思った。空が澄んでる。どよーんとしてない。地中海性気候だ。
荷物は無事に出てきた。偉いねー!!
アパートの人に電話をし、地下鉄で市街へ。
空港を出ると、からっとした風。意外と涼しい。ドーハとは全然違う空気。ギリシャといえどもヨーロッパなのだなあ。

アパートが、あたしの想像していた道ではないのが問題だった。
迷う迷う。
文字が読めないのが敗因の1つ。あたしが持ってる地図は英語表記で、街の標識はギリシャ文字表記。くっそー。絶対ギリシャ文字、今日で完全把握してやる。
ウロウロすること1時間。「マリ! 後ろを見て!」と、鍵渡し係の兄さんが電話してくれなかったら絶対たどり着けなかった。
兄さんが、トランク持ってうろうろしてるアジア人のあたしを見つけて、電話して、手を振ってくれた。よかったー! 会えた!
どうしてアパートの鍵渡し係の男の子はなんとなくみんな似てるタイプなんだろう。やわらかくてやさしい感じ。今日の彼もそう。しぐさがゲイだし。かわいい。ゲイってなんだか安心する。なんだろう、この安心感。物腰がやわらかいからかなあ。
S019
今回滞在するアパートは、中心地まで地下鉄で1駅、最寄りのエヴァンゲリスモス駅から徒歩7、8分くらいの住宅地にある1階。
広くはないけど天井が高く、清潔。予想外なことにバスタブがついていた。
ヨーロッパの部屋って、瞳の色の違いからか、照明が足りないんだけど、ここは照明がいっぱいあって明るくていい。黒い瞳のアジア人にも優しい。小さいけれどベランダもある。トイレに紙が流せない、ってのはアジア的だけど、まあいい、満足。
S020
20:00 夕飯を食べに行く。
ふと振り返ると、ペルセポリスの丘っつうか崖が見える。美しい! 岩肌が白っぽいので、くっきりはっきりしていて、まるで東武ワールドスクエアのニセモノみたいだ。はー、なるほどこうやって見えてくるわけね。
てくてく歩いてると、アテネオリンピックのとき、マラソンのゴールだった、オリンピック記念スタジアムに出る。
大理石の客席。美しい!

アテネの中心であり下町であるプラカ地区、その一角はスブラキ屋さんだらけで、もんのすごい人だった。夕食の遅いギリシャの、ちょうどその夕食どき。
道いっぱいに広げられたテラス席は大賑わい。どの店も美味しそうなのだけど、お目当ての店が、いい雰囲気だったので、入る。
S021豚のスブラキ、生ビール、ツァジキ、青唐辛子のオイル漬けを注文。
ツァジキ、うめー!
ツァジキとは、ヨーグルトに塩・にんにくのすりおろしたやつ、きゅうりのせん切りを和えたもの。アラブ料理・トルコ料理・ギリシャ料理に共通して存在する前菜だ。
このことからも、そしてスブラキがトルコでいうシシュケバブ、つまり串刺しの焼肉と酷似してることからも、このあたりの料理がみんな交流をもっていて、ミックスされて現在に至っていることがわかる。

あたしが今までに知り合ったギリシャ人は3人。3人とも船乗りの家系。よってあたしのギリシャイメージは船、である。みーんな「おじいちゃんが横浜に行ったことがある」だの、「小さいときお父さんの仕事の関係で神戸に行ったことがある」だの言うんだもん。
で、こいつらにそれぞれ、ツァジキを食べさせてもらったことがあるのだけれども、一度として美味しいと思ったことがなかったのだった。でも、本場ギリシャに来たら、「うめー!」ってなるとは思っていました。
奴らがつくったものとは全然違ったのだ。まずヨーグルトが違う。ヨーグルトっていうよりクリームチーズ? ってくらい滑らかできめが細かい。日本のヨーグルトとは別物であると思わなくてはダメだ。サワークリームみたい。そしてすんごいにんにくと濃いめの塩加減が絶妙! きゅうりが冷たくて夏にぴったし。脂っぽいスブラキと合わせて食べると口の中がさっぱりする。

スブラキも絶品だった。西安で食べた串焼肉を髣髴とさせる。やはり強めの塩加減にオレガノが振ってあって、ギンギンに冷えた生ビールによく合う。つけあわせはフライドポテトとピタという、薄くてあんまり発酵していない、ナンみたいなパン、そして生野菜。でっかいレモンを絞って食べる。オリーブ油がたっぷりかかっているけど、全然気にならない。
昔、高校のとき使っていた世界史の史料集の一口コラムみたいなところに「ギリシャ料理はオリーブオイルが多用されているので、日本人は胃腸を壊しやすい」とか書いてあったけど、なめんな! 書いてる奴、おめーギリシャ料理食ったことねえんだろ。日本で使われているオリーブオイルとはまったく違えんだよ! イタリアもオリーブオイルの国だけど、全然! ギリシャのオリーブオイルのほうが美味い。あの独特のにおいがほとんどなくて、何より軽くて、サラッサラしてる。美味い! だって、お皿に溜まったオリーブオイル、スプーンですくって飲めるくらいだもん。油って飲むのオエーってなるけど、なんなかった。
豚肉って、やっぱりうめーなー。チキンもあったけど、やっぱり豚のほうが美味しいと思う。コクが違う。イスラムやユダヤの人たちは食べられなくてかわいそうだ。旨味が、他の肉類よりダントツに強い。

S022店のおっさんたちが、とにかくよく働く。

ピタパンもしっとりとしてて美味い! 
豚肉と一緒に切って食べたり、油と豚肉の脂しみこませて食べたり、ツァジキつけたり、バリエーションがあって良い。
マジ毎日これでいいわ。これを毎日食べて、この旅は終わるに違いない。だって、この料理、もともとアラブ系だから、カタールにもトルコにもあるんだもん。
おんなじ食文化って、面白い。前述したツァジキだって、スブラキだって、ケバブだって、バクラバという、木の実のパイをシロップや蜂蜜に漬け込んだデザートだって、おんなじ。魚介類はギリシャからトルコへビザンチン時代に、肉食系はトルコからギリシャへオスマン時代に、というのがよーくわかる。食に関する言葉がそれぞれの影響をメチャクチャ受けてるんだもん。

青唐辛子は当たりとはずれの差がでかくて、途中放棄。からーい!! 辛いもの大好きなあたしが辛いというのだから辛いんだ。ソウルでの悪夢を彷彿とさせる。

S023他の店をのぞいてみたけど、出てきてるものが、今日入ったところのやつのほうが美味しそうに見える。大当たりだったな。
ギリシャ料理の第一印象、非常に良ろし。

ふらふら歩き、途中で水を買って帰宅。
物価が安いからなのか、観光地中心のキオスクで買う水なのに安かった。
ギリシャのキオスクは日本のキオスク以上にゴチャゴチャしてていろんなものを売ってる。木の枠組みの中に、雑誌は50種類くらいあるんじゃなかろうか、ありとあらゆるお菓子、ジュースにビールに牛乳、おもちゃ、絵葉書、観光客向けのおみやげ、カメラのフィルムなどなど。あたしの好きだった、でももう日本では売っていないトライデントという薄っぺらいガムもある。

風呂のお湯が出ないよー。夜中だからだろうか。この部屋唯一の問題点。

長い長い一日でありました。

次章へ続く!

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